昔のメリケン渡来のお金儲けノウハウ本(『金持ち父さん貧乏父さん』)に「収益を生むものが資産であって、収益を生まない資産(持ち家など)はすべて“負債”である」との記述があり、目からウロコと感心した人が多かったようだが、これは普通の人の常識とは異なる。でもこの「トンデモ理論」に対しては「理論的な」反論がまだ出されていないような気がするので、一応書いておくことにする。
この「トンデモ理論」が書かれている本:
「持ち家は負債である」とするくだりについての散人の見解:
今日の株価を見るまでもなく、金融資産(株価など)は、値段の変動が激しい。不動産価格も値動きが激しいが、自分に対する効用(帰属家賃)部分は、自分の主観に依存するものである以上、非常に安定的である。ストレスが少ない生活を送るためにも、資産の三分の一は不動産で保有すること。これは昔からの経験則でもある。吹けば飛ぶような紙切れ資産に過大の思い入れを持つものではないのである。
金持ち父さん貧乏父さん ロバート キヨサキ 白根 美保子
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資産と負債の考え方
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「持ち家は負債である」とするくだりについての散人の見解:
- 持ち家は立派な資産である。収益を生まないと言うが、持ち主に対して「効用」を生み出す。「効用」は収益と同じことである。持ち家は収益を生み出すのだ。
- その証拠に国民経済計算(SNA)によると、すべての「持ち家」についての帰属家賃がGDPにカウントされている。帰属家賃とは、持ち家の使用者が、持ち家の所有者(すなわち自分)に対して払う家賃なのである。立派な経済行為であるからこそ、GDPにカウントされるのである。
- でも持ち家に限らず不動産資産の所有・維持には相当のお金がかかる。不動産資産は「金食い虫」であるように見えることもある。この点はどういう風に整理すればいいのか。
- 簡単である。不動産の取得コストを正確に把握していないからである。不動産取得に当たっては維持費用も考慮しなければならないだけの話。例えば販売価格5000万円のマンションを買うとする。管理費、駐車場などの経費が年間60万円かかるとしよう。年間で60万円(税引き)の収益を生む債券が5000万円で買えるとすると、このマンション資産への実際投資金額は1億円であるということだ。一方、管理費。駐車場などの経費がかからない物件については表面価格は少し高くても実際の投資金額はもっと安くなるケースがある。
- また交通費が非常に高くつく郊外物件への投資にあたっても、これを考慮する必要がある。
- 定年退職者のような、比較的資金的余裕のある世代が、現金で不動産納入を考えている場合、維持費用に見合う収益を上げる債券を同時に購入することをお勧めする。不動産の購入価格とこうして「総合計」で判断するべきものなのである。その分に見合う効用があると判断すれば買い。なければ買わない。
- 貸家、旅館などに払うお金には税金がかかるが、所有不動産から貴方が受け取る「効用(帰属家賃)」については消費税はかからない。これも判断する上での材料とするといい。
今日の株価を見るまでもなく、金融資産(株価など)は、値段の変動が激しい。不動産価格も値動きが激しいが、自分に対する効用(帰属家賃)部分は、自分の主観に依存するものである以上、非常に安定的である。ストレスが少ない生活を送るためにも、資産の三分の一は不動産で保有すること。これは昔からの経験則でもある。吹けば飛ぶような紙切れ資産に過大の思い入れを持つものではないのである。